2007年11月27日

体と心の元気は口元から

「体と心の元気は口元から」をテーマに、前田副理事長、木村院長、読売新聞東京本社医療情報部次長・渡辺勝敏記者講師によるパネルディスカッションが行われた。

 藤野 歯磨きは1日どれぐらいやればいいか。

 木村 私は1日1回、15~20分磨く。歯周病の主な原因とされるプラーク(歯垢(しこう))が歯に付着し、歯肉に炎症を引き起こすまでに48時間かかると言われており、1日1回徹底的に磨けば大丈夫。ただし研磨剤が入った歯磨き粉は歯を削るので、歯根が出ている場合は液体のマウスリンスを勧める。

 渡辺 電動歯ブラシを使っている。歯がつるつるになり、奥歯も磨けて役立っている。

 藤野 よくかんで食べることは歯周病予防につながるのでしょうか。

 前田 かむこと自体は直接はつながらないが、ゆっくりかんで食べる人は肥満になりにくい。肥満やメタボリックシンドロームと歯周病の相関性は指摘されているので、間接的な影響があるかもしれない。

 渡辺 かむことで血流が活発になり、脳にもいい影響があるという医者は多い。口を動かすことと健康の研究は進んでいるか。

 前田 かむと脳の血流が上がるというデータがあるが、認知症予防に役立つという結果にまでは至っていない。歯科の領域ではないが、栄養をとる際、点滴よりも口から食べる方が健康にいいと言われている。

 藤野 「親知らず」は抜いた方がいいか。

 木村 20歳代で抜くことを勧める。40、50歳代になると親知らずは虫歯になり、歯周病も進む。第2大臼歯(きゅうし)を長く残したいならば抜くべきだ。

 前田 抜いた方がいいというのが一般的になっている。痛くなった後で抜くのは難しいし、斜めに生えた歯の処置も困難だ。早めに治療したほうがいい。

 藤野 今後、歯周病の研究はどのように進んでいくか。

 前田 失われた歯槽骨(歯が植わっているあごの骨)など歯周組織を再生する研究が進められている。一方で、歯周病予防のメンテナンスをどう効果的に行うかについては解決されていない。

 藤野 治療現場のこれからは。

 木村 外科手術をすれば歯周病は治せるが、痛みを伴う。へこたれてしまう人も多く、米国ではインプラント(人工歯根)が普及している。人工歯根か外科手術か、患者が決める時代。歯科医がチャレンジすることはたくさんあり、患者の協力で治療法は進歩していく。

 藤野 いい歯科医を選ぶには。

 渡辺 私は「メンテナンス」と「治療」で歯科医を分けている。人によって得意分野がある。信頼できるかかりつけの歯科医を軸に、必要に応じて別の歯科医も紹介してもらえばいい。

 Q&A

 聴講者との主な質疑応答は次の通り。

 ――歯周病を予防するにはどんな食事がいいか。

 前田 血圧は塩分の摂取量との関係が明らかとされているが、歯周病と食生活に関する科学的証明はあまりなく、データを出すのは難しい。しかし、全身の健康を害するような食事が悪いことははっきりしている。野菜をベースにしたバランスの取れた食事を心がけてほしい。

 ――歯のクリーニングを受けたいが、歯がすり減る恐れはないか。

 木村 数マイクロ・メートル単位ですり減るが、歯は再石灰化するので問題ない、むしろ歯磨き粉を使う方が危険だ。

 ――毎晩、歯磨きの後に親指で歯茎をマッサージしているが、効果はあるか。

 前田 歯磨きには、汚れ取りと歯茎のマッサージという二つの効果があり、マッサージは歯肉の代謝を活発にし、引き締める。歯茎は傷つきやすいので、力加減を考えてやった方がいい。

 ――歯茎が白いのは不健康だからと言われたが、歯科で体の疾患がわかるのか。

 前田 歯茎で体の状態までは判定できない。内科医などにきちんと診断を受けて治療すべきだ。



エアロビクスの指導を受ける聴講者たち ◆笑顔のエアロビ
 会場ではスタディオパラディソ代表の森山暎子さんがエアロビクスを指導。聴講者たちはセミナーのテーマに合わせ、口角を上げて笑顔を作る運動をした。森山さんは「すがすがしい気持ちで体を動かすのは病気の予防になる。笑顔で健康づくりをしましょう」と呼びかけた。

YOMIURI ONLINE



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Posted by マシンガン02  at 16:13 │美容・健康